蓄電池診断の現状とBMSが抱える課題

電気自動車(EV)の性能を大きく左右する蓄電池。そのエネルギー残量(SOC)や劣化状態(SOH)を求めるBMS技術は、大きく二つの課題を抱えている。蓄電池の各種データを自動車メーカーが囲い込んでいることと、精度が不十分なこと。こうした問題は、日本でのEV普及を遅らせる要因になりかねない。
矩形波インピーダンス法とは何か?

早稲田大学逢坂研究室で生まれた蓄電池の非破壊診断技術「矩形波インピーダンス法」。EC SENSIGNでは、この技術を基にバッテリー・マネジメント・サービスを構築中だ。このサービスを使えば、蓄電池の劣化診断/予測を極めて高い精度で、しかも非破壊で実行できる。
各種アプリケーションへの適用事例

矩形波インピーダンス法は、すでに実用化段階にある。EC SENSIGNでは、市販の電気自動車や大型蓄電システムに搭載した蓄電池モジュールを対象に、そのインピーダンス周波数特性を実際に測定した。この結果、蓄電池の劣化診断/予測の有効であることを確認済みだ。
一般ユーザーにも分かりやすい診断結果

矩形波インピーダンス法で得られる測定結果から蓄電池の劣化状態を読み取るには、高い専門性が必要だ。そこでEC SENSINGでは、一般ユーザーに分かりやすく劣化診断/予測の結果を伝える蓄電池診断報告書を用意した。人間ドックなどを受けた際に届く結果報告書のように、例えば劣化状態をA、B、C、Dの4段階で評価する。
矩形波インピーダンス法を競合手法と比較

蓄電池の劣化状態を診断する技術は大きく分けて4種類ある。その中で、矩形波インピーダンス法が含まれる交流インプーダンス法の最大の特徴は、寿命予測と突発不良予知を実行できる点にある。しかも矩形波を使うため、測定時間を短縮できたり、測定システムを低コストできたりするメリットも得られる。
AIを利用した蓄電池診断アルゴリズムを開発

矩形波インピーダンス法には、診断する蓄電池と同一品種の劣化に関する経年測定データが数多く必要という課題がある。このため新しい種類の蓄電池を搭載した電気自動車については、経時測定データが集まるまでサービスを提供できない。この問題を解決すべく、EC SENSINGはAI利用の診断アルゴリズムを開発中だ。